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コミュニティと不協和音

高校の時、武満徹さんが作曲された「小さな空」という合唱曲を歌ったことがあるのですが、これが難しいことこのうえなかったです。パート別の練習もかなり難しかったのですが、他のパートと合わせたときなんかは悲惨でした。まぁ、私が音楽のセンスが全くなかったというのもあるのですが、他のパートに引きずられたり、出すべき音を見失ったりして、あり得ない音楽でした。なぜそんなに難しいかったかというと、不協和音なんです。武満さんの音楽って、不協和音が重なることによって紡ぎ出される、美しい幻想的な音楽なんです。耳が悪いと、出すべき音程が全くわからなくなってしまいますし、その不協和音がピタッとはまらないといい音楽にはならないんです。私にもう少し、音楽のセンスがあり、この不協和音を聞くことができていればもう少し違う音楽になっていたのかもしれません。
武満徹の音楽についてふと思い出したのは、「逆説のマネジメント(リチャード・T. パスカル著、ダイヤモンド社出版 )」という本を読んでいて、不協和音に関する面白い話があったからです。この本には、ホンダ創始者の1人である藤沢武夫さんのことが随分書いてあって、藤沢さんの考え方にものすごく感心し、またその話がコミュニティにも繋がるなぁと思いました。
藤沢さんという方は、ホンダを本田宗一郎氏とともに立ち上げた2大立役者のひとりで、時にホンダのCEOは藤沢さんで、CTOが本田宗一郎さんだとおっしゃる方もいるほどです。日本では知名度が低いのに比べ、アメリカではかなり知られた人物で、MBAなどではよく引用されたりするのだそうです。
私もこの本を読むまでは、藤沢さんのことを全く知らなかったのですが、一読していかにこの方が素晴らしいひとだったかが分かりました。

彼は生前次のような言葉を残しています。

私は、バルトークやストラビンスキーが好きである。それは不協和音である。ーそして会社のなかにも不協和音がある。会社は不協和音を上手に『編曲』して一種の調和のとれた音楽にしなければならない。しかし、調和を過度に要求してはいけない。ひとは不協和音のなかに調和を見いだす『鑑賞力』を養わなければならない。そうしなければ、会社を存続させようとする諸勢力の言いなりになってしまうからである。(「逆説のマネジメント」より引用)

私は3つの意味でかなりドキリとしました。
まずはその言い回しです。『編曲』のところで終わってないところがすごい。並みのひとなら、不協和音を編曲して調和の取れた音楽にしなさいってところで終わってしまいます。でも藤沢さんは、「調和を過度に要求せず、不協和音のなかに調和を見いだす『鑑賞力』を養いなさい」というと続けています。並の人間であれば、ついつい不協和音を調和されたものに変えていこうとしがちではないでしょうか。なのに、『鑑賞力』を養いなさいって。不協和音を消し去ることなく、その中から協調を感じられるように努力しなさいって、そうしないと現代音楽のような美しい音楽になりえないように、会社も小さな枠に収まってしまうよ
って。

それから、もう一つは、この「会社」の部分を「コミュニティ」に置き換えるて読むと、まさにコミュニティのあり方を語っているからです。コミュニティって不協和音だらけです。会社とは違い、集まっている人たちは、おのおの自分のやりたいこと、興味関心があってそのコミュニティに集まってきているものです。だからコミュニティでは、自分の考えを主張したり、他のメンバーと意見が食い違ったりすることはしばしば起こるものです。でも、これを変に纏めてしまったり、代表者(と意を同じくするメンバー達)の思いだけに偏った独善的な方向へ導くことは、コミュニティの破綻を意味するように思います。

最後の一つは、杉山さんがよくおっしゃっていることとかなり被っていたからです。杉山さんがコミュニティのイベント(WBCやRBC長崎第2回Rails勉強会)などで講演された「コミュニティに入ろう」はこのことを分かりやすく説明しているのだと思いました。また、杉山さんがブログ「OSC Fukuoka2007 参加しました」で書かれている「多様性を認め合おう」というのも、つまりは同じことを言われているんだなぁと思ってます。(私が幸運なのは、こういう杉山さんのような方と、コミュニティを通じて知り合うことができたことです。)

ところで、杉山さんが以前ブログに書かれた「旨いお酒」に関して次のようにおっしゃってくださっています。

(というか、たま~に直接会ったときにしか話してないかも(^^ゞ)でも、僕らはつながっている、って信じられる。それは、深いところで、共感しあっているからだって思う。ヒトはお互いに信じられれば、確認することってホントに少ないんだよね。たまにあって、二言三言かわせば、それで十分。また別々に進んでいけばいい、でも、どこかでつながっている、どこかで合流できる。

まったくセンスある人たちは、いいことをいうもんですねぇ。私の場合、杉山さんにそこまで言っていただけるほど立派な人間ではありませんが、すごく嬉しく思ってます。
で、藤沢さんも似たようなことをおっしゃっていたそうです。藤沢さんは舞台や音楽鑑賞などインドアっぽいものが趣味で、本田宗一郎さんはゴルフなどのスポーツを好んでいいたため、実は仲が悪いのではとの噂が立ったととがあるのですが、

いつも手をつないで一ß緒にいるのを仲良しとは呼ばない。私達は離れていても、今この瞬間、相手が何を考えどうするかが手に取るように分かる

とコメントしたそうです(詳しくは、WikiPediaをどうぞ。「作行会」のところは是非一読してみてください)。

話は逸れてしまいましたが、会社にしろ、コミュニティにしろどんな世界であれ、様々な人間が集まれば、多様な意見があるものです。藤沢さんの言葉でいえば、不協和音があります。でも決して、それを悪しきこととせず、そういうものだと認識し、その中の様々な考えをおのおの受け入れ活動していくことが、器の大きな組織になるための必須条件なんだろうと思いました。「私の関わっているコミュニティ(RBC長崎にしろjavacomm長崎にしろRBCにしろ)はそうあって欲しいなぁと切に願います。

なお、このブログのタイトルを「藤沢武夫と杉山隆志」としたかったのですが、杉山さんからクレームが来そうだったので遠慮させていただきました(笑)

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コメント

いやいや、クレームなんて・・・むしろ藤沢さんと並べられて恐縮しちゃいますです。

投稿: 杉山(Flight) | 2008年5月16日 (金) 20時42分

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